滋賀県が生んだ作曲家・中村典子さんらが主宰するクラムジカの“里帰り公演”が23日午後、しがぎんホールで開かれたので、行ってきました。
中村さんはひどい腰痛で、イスに座って、韓国の現代音楽作曲家・尹伊桑(1917〜1995)の『洛陽』指揮をされていました。
『ミクロコスモス』(バルトーク・ベーラ)、『マクロコスモス』(ジョージ・クラム)は、ともにピアノ独奏で、対照的な味わいでした。
とくに、クラムの曲では、演奏者がピアノに覆いかぶさるように上半身を乗り出し、ピアノの内部の弦をギターのように爪弾いたり、弦の縁やピアノ本体をまさに殴るように、ドンドン。
弦の真ん中を指で押さえながら対応する鍵盤を弾いたり。ナニコレ? ナニソレ?
”内部奏法”と言うのですって。それにしてもピアノがかわいそう。大丈夫なんでしょうか。
奏者が声を絞り出すようにウォー。歌ったり叫んだり。口笛で効果音よろしくピーピー。
楽譜には、演奏の指示はどのように表現されているのでしょう。
会場に、楽譜が展示してありました。十字架のような楽譜、円や螺旋のかたちをした楽譜には、驚きました(写真下)。
ピアノと打楽器の二重協奏と十七弦筝の室内アンサンブル『時之揺籃 泪之瓔珞』(中村典子作曲、初演)、4人の打楽器奏者のための『Pegasus』では、パーカッション奏者が、楽器の間を動きまわります。
次は何をやるでしょうか。目は離せません。その演奏スタイルがおもしろい。
現代音楽はビジュアル系、と言ったら失礼でしょうか。いや無知を露呈するようなものかもしれません。
こんな楽しみ方もアリだと思います。音楽は、音を楽しむもの。いいえ、音楽は目で見ても楽しいですよ。
楽しくって、心豊かなマチネーでした。