ささなみの 志賀のさざれ波 しくしくに 常にと君が 思ほせりける
=置始東人(おきそめのあづまびと)=
弓削皇子をしのぶ挽歌です。
10日朝、さざ波を空に投影したようにびわ湖の上に、写真のような雲が広がっていました。
わが家(滋賀里)の向こう岸、草津市上空を起点に湖上を覆い、ずっと京都・山科方面へと波うっているようです。
不吉な出来事の前兆でしょうか。まさか、これが地震雲というヤツではないでしょうね。
手元の本で調べてみましたら、上空2000〜7000メートルの上層に生じる波状高積雲とのこと。
寒気団の上に暖気があるときに生じる”気流のいたずら”で帯状、波紋状に発達して広がった、とわかって、ひと安心。
挽歌の詠み人は、この雲を見て志賀の都に思いをめぐらせた、と想像してみるのも面白いね。
雨が近いことを知らせる雲らしい です。
幸田露伴が、慈鎮和尚の歌「まだ晴れぬ 水まさ雲に もる月を むなしく雨の 夜はやおもわん」の水増雲は雨を呼ぶ雲と解説しているのも、面白いね。
気象予報によると、この雨を境に今週末は寒くなるとのこと。
室内でも18度止まりで薄ら寒い。長そでのアンダーウエアに着替えました。
今夜から湯たんぽがいるかしら?
なんと、庭でユキンコが雪のようにフワフワと舞っているではありませんか。
幼いころ、ユキンコを追って雪の近いことを喜んで、遊んだものです。
実はこの4〜5ミリの小さな虫は、トドノネオオワタムシで、アブラムシの仲間。
飛んでいる白いのはみんなメス。早熟多産、処女生殖で殖えるという変わった生態で、樹液を吸う害虫と知って、かわいくなくなりました。
何年か前に日本気象協会が、ユキンコが舞い始めた日を報告してもらい、雪が降る日との関係を調べました。
その結果、どの地方も1か月後には、雪が降り始めた、ことが分かりました。
北海道、東北では、ユキンコのことを”雪の妖精”ともいうそうです。
本格的な雪の季節も近い。”雪の妖精”を待つ気にはとてもなれないでしょう。
大震災の被災者の暮らしを思うと、胸が痛くなります。